トラック大空襲から唯一生還した船「宗谷」に行ってみた【トラック島空襲、南極観測船、船の科学館、チューク、沈船ダイビング】

トラック大空襲から唯一生還した船「宗谷」に行ってみた

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1944年のトラック大空襲(アメリカ名はヘイルストーン作戦)。当時、大日本帝国海軍の拠点であったトラック諸島(現:チューク)に係留していたたくさんの船が沈没した太平洋戦争の出来事である。これが、現在のチュークが「世界一の沈船ダイビングスポット」と称される由来だ。

40以上の日本軍の船が沈められたこのトラック大空襲の中で唯一終戦まで生き延びて、戦後にも活躍した現代でも陸上に存在する奇跡のような船がある。それが「宗谷」だ。

参考 :  「10時のちょっといい話」 

参考 :   トラック島大空襲でも沈まなかった宗谷 - かつて日本は美しかった

現存する、唯一の大日本帝国海軍保有の船であり、大変貴重な歴史的な船だ。現在はお台場にある船の科学館で展示されており、中を見ることができる。

南極観測船「宗谷」について

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1938年に完成し、北海道周辺などで貨客船として活躍。太平洋戦争のために大日本帝国海軍に買収され、改造。特務艦としてたくさんの仕事をこなした。ミクロネシア連邦周辺にはチューク、ポンペイ(旧ポナペ)でも活躍。1944年にトラック大空襲にて、回避中に座礁し、ダメージを受ける。しかし翌日、潮が満ちて離礁。奇跡的な脱出をした。終戦後、引揚船となり、ミクロネシア連邦ヤップ、チュークなどで活躍。最終的には初代南極観測船として大改造され、1978年に退役した。

(Wikipediaより抜粋)

船の科学館に展示される宗谷

南極観測船「宗谷」│船の科学館公式、ホームページ

お台場にある船の科学館横に係留され、展示されている宗谷は無料で見学することができる。私が訪れた2020年9月はコロナウィルスの影響で最下部デッキなどには入ることができず、展示が一部閉鎖していた。

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デッキ

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マスト

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操舵室

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機関長室

いきなり現れるマネキンにびっくりする

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食器などは手を触れることができない。裏を見て、刻印がないか見たい!!

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機械類もそのままになっていて、1つ1つ確認できるものは確認したが、南極観測船になるときに大改造されており、太平洋戦争以前の年月が刻印されているものは見つけることができなかった。メーカー名もチュークの沈船で見てきた会社名と同じものは見つからなかった。

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お風呂はチュークで見られる船と同じような2層式。小上がりになっている部分も共通している。

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他の部屋で見かけた、チュークでは見たことのない洗面台。

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本当は機関室なども覗けるのではないかと期待していたが、コロナウィルスの影響で閉鎖していた。

 

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太平洋戦争中、測量船として活躍した宗谷。その時に発見したマリアナ周辺の海図が展示されている。

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デッキにはヘリポートがあり、このあたりは太平洋戦争時とは大きく変わっているようだ。

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操舵室

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テレグラフなども見てみたが、さすがにチュークの沈船と同じようなものを見つけることはできなかった。

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東洋陶器(現:TOTO)の洗面台

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お風呂場などで見つけた、洗面台は東洋陶器(現:TOTOの刻印が!これはチュークの沈船でも同じものを見ることができ、宗谷が太平洋戦争を生き延びてきたという事実を強く感じた。

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富士川丸などで見られる洗面台は痰壺がついているが、宗谷の洗面台のほとんどにはついていなかった(1つだけ見つけることが出来た)

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富士川丸にある、東洋陶器の洗面台

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富士川丸のデッキにある、風呂場。左奥に浴槽、右側に洗面台が3つ並んでいる。

南極観測船「宗谷」の展示スペース

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宗谷のデッキ中央は展示スペースに改造されており、貴重な資料や映像を見ることができる。

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中央にあるビデオは初代南極観測船として南極に出発した際のドキュメンタリー映像。これが面白く、ずっと見ていた。全部見ると多分45分くらいある。今とは全く違う、過酷な状況で昭和基地の建設からはじまった南極観測。その凄さが伝わってくる。

船員が会議中とかにもパイプやタバコをふかしている映像は現代ではありえないので、時代だな~と思わず笑ってしまった。

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わざわざ南極用にタバコつくるくらいだもんなぁ(笑)

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 その後、南極観測船「ふじ」などに引き継がれた南極観測。最近の観測の様子などもビデオ放映されている。白夜の様子の映像は美しく、見入ってしまった。 

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南極の氷も展示されている!これは保管するのが大変そう。気泡がたくさん入った氷が南極から運ばれたことを考えるとロマンを感じる。

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展示スペースにはタブレットがあり、色々コラムを読むことができる。タロとジロは有名だが、他にも動物がたくさんいて、中でも不思議だったのがネコのタケシ。三毛猫のオス!!!??めっちゃレアなんじゃないのか。

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大日本帝国海軍所属、特務艦 宗谷時代の写真。今とは大きく異る見た目をしている。宗谷の全長は82.3m。チュークの沈船ダイビングで見られる大きさの近い船だと薄(駆逐艦、第34号哨戒艇) がある。

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薄の船首。

 船の科学館「宗谷」のパンフレット

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宗谷船内の展示にもチュークのことやトラック大空襲のことは記載がなく、ちょっと残念だったが、パンフレットには唯一生還した船であることが記載されていた!

 船の科学館「南極観測船 宗谷」の動画

船内の動画もつくったので、こちらも是非。

www.youtube.com

トラック諸島に関連のあるもう1つの船「氷川丸」

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横浜の山下公園ににある氷川丸とチュークに沈んでいる平安丸は姉妹船。氷川丸、日枝丸、平安丸という3姉妹の彼女たちだが、現存しているのは氷川丸のみ。日枝丸は1943年にパプアニューギニアとチュークの間で沈没した。平安丸は1944年にチューク環礁内(当時トラック諸島)で沈没。 同じ設計図から作られたこれらの船を見比べるのもディープなチュークの潜り方だ。詳しくは下記記事で。

氷川丸の姉妹船、トラック諸島に沈む「平安丸」 - Travel Kurarin