調べて分かったQRコードの意外な落とし穴。QRコード決済を装った悪質な詐欺に注意したい。

仕事が立て込んでストレスが溜まっていたので、思い切って休暇をとり、旅行に出てみた。訪問先は避暑地として有名な某地方。新緑の季節も過ぎ、緑が多くゆっくり過ごすには最適な観光地だ。散策をしているとすごく雰囲気の良いレストランを見つけたので、立ち寄ってみることにしたのだが、注文をしようと思ってもメニューがこない。テーブルを見渡すと、どうやらQRコードを使って注文をするようだ。初めて目にするシステムに少し戸惑ったが、なんとか注文を終え料理を楽しむことができた。店員さんに聞いてみると最近はQRコードで注文を取るレストランも増えているようだ。

QRコードが登場したばかりの頃は全然使うことがなく、そもそもiphoneにもQRコードの読み取り機能がなく、アプリをダウンロードしていた記憶がある。今は使用頻度が増えて、普段何気なく使っているQRコードだが、そもそもどのような仕組みで使用されているのか気になったので、改めて調べてみることにした。

QRコードとは大容量の情報を搭載できるコンパクトな2次元コード

QRコードは1994年に開発されたようだ。意外なのが、開発したのは日本の企業「デンソーウェーブ」。製造業の現場で利用されていたバーコードに更なる情報量を持たせる必要が出てきたことや、製品の小型化に伴い、より小さなコードの印字が求められるようになったことが開発の背景にあるとのこと。

360度どの方向からスキャンしてもコードを読み取ることができるのがQRコードの強み。これを可能にしているのがコードの隅に配置されている3つのシンボルである。特徴的なこのシンボルの開発に、当時は相当の労力が割かれたようだ。

こうして開発されたQRコードには、英数字のみならず漢字表現も含め、大量の情報が搭載でき、従来のバーコードに比べ10倍以上のスピードで情報を読み取ることが可能。QRとは(Quick Response)の略であり、その特徴を冠した名前となっているのも面白い。

参考:QRコード開発ストーリー DENSO WAVE

世界中に広がるQRコードの活用実態

今では街の至る所で目にするようになったQRコード。開発背景にあった、工場等での生産管理や製品の物流はもちろん、広告媒体に印字されていたり、イベントなどの電子チケットやSNSのアカウント情報の取得、各種金融機関の電子決済方法としての機能も有していたりと様々な場面で活躍している。

冒頭で紹介したレストランのメニューや注文もそうだが、非接触で一連の手続きが完結できるため、QRコードによる電子決済はコロナウイルスによるパンデミック以来、導入が急速に進んでいるようだ。

“中国は、QRコードの利用率で世界をリードしており、中国の消費者の半数が週に数回QRコードを読み込んでいます。中国におけるスキャン支払いは、2021年以降前年比26%増と急増しています。”

“最近の調査では、米国のレストランの52%がすでにQRコードメニューに切り替えていることが判明しています。”

引用:QRコードの安全確認と読み取り方のガイド ExpressVPN

アジア圏や欧米でもQRコード決済は主流になりつつあり、そのシェアを伸ばしている。

利便性の裏に潜む影、QRコードを利用した詐欺も増加中

QRコードのことを調べてみるとその利便性からメリットしかないような印象を持っていたが、一方で、悪用事例が多数あることを紹介しているWEBサイトも見つけた。

“QRコードの危険性は、そのデザインにあります。悪意のあるコードはどこにでもあり、正規のコードと見分けがつかないため、見ただけで不正なコードを発見することは不可能です。詐欺師はメニューや注文サイトのQRコードを簡単に改ざんし、個人情報の取得や不正口座への支払いを目的とした、よく似た偽サイトに利用者を誘導することができます。”

“サイバー犯罪者がQRコードを使って銀行口座を狙う方法はいくつかありますが、その中でも特に多いのが、パーキングメーターやガソリンスタンド、カフェなど公共の場での簡単な決済に使われる正規のQRコードを改ざんすることです。”

引用:QRコードの安全確認と読み取り方のガイド ExpressVPN

これは私が作ったQRコードだが、このように個人でも簡単にコードが生成できてしまう。悪意のあるコードが日常生活の中に潜んでいるかもしれないということ、コードをスキャンするだけで個人情報を抜き取られてしまう可能性があるということを知ることができ、勉強になった。

信頼できる場所でのコード利用は問題なさそうだが、公共性の高い場所では何でもスキャンしないように気をつけたい。

個人的にはQRコードを開発したデンソーウェーブのマーケティング戦略や利益に対する考え方、日本で生まれて中国で発展し、世界に広がっていったシステムの話も面白いと感じた。以下、参考になるので興味があれば是非。

したたかデンソーの戦略 | 維新国際特許事務所

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