ビンテージアンブロのジャージ、トラックトップ、ナイロンジャケットが好き
私の好きなアンブロ。中学生くらいから好きになって、スパイクもウェアもアンブロで揃えていた。近年、サッカーのビンテージアイテムが人気を集めており、特にアンブロが人気らしい。
しかし、あまり注目されてこなかったブランドなので、まとまった情報がなかったので自分でまとめてみた。さらに長年集めた自分のアンブロのアイテムを使って、タグなどの年代判別などを体系的に整理してみた。
ちなみに私がアンブロを好きになったきっかけは当時、川崎フロンターレ所属の森勇介選手が着用していたから。自分にとって彼はアイドルのような選手だった。アンブロが好きなホイッスルの小島有希もお気に入りキャラ。
- ビンテージアンブロのジャージ、トラックトップ、ナイロンジャケットが好き
- アンブロの歴史、ブランド名の由来
- アンブロのロゴ、意味、タグの年代判別
- 様々なブランドやバンドとumbroのコラボアイテム
- 参考リンク
アンブロの歴史、ブランド名の由来
1924年にイングランドのマンチェスター郊外のウィルムスロウで創業。創業者はハロルド・C・ハンフリーズとウォーレス・ハンフリーズという兄弟で社名を「ハンフリーブラザーズ・カンパニー」とした。Humphrey Brothersのスペルのうち、umとbroを取って、umbroというブランドを作った。略語みたいなものなんだね。
最初は特にユニフォームやサッカーの関係ない、配送業のような小さい会社だったらしい。その後、ユニフォーム事業を開始。1934年のFAカップ決勝に勝ち進んだマンチェスター・シティとポーツマスの両チームがアンブロのユニフォームを着用。このあたりの時期からイングランド内での人気が高くなったようだ。
第二次世界大戦ではミリタリーウェアなどを製造。社員食堂を軍に提供するなどの活動もしていた。戦後もサッカーユニフォームを多く提供し、イングランド内でのシェアはどんどん増えていった。サッカーだけでなく、イギリスのオリンピックチーム、陸上競技、テニスなど他のスポーツウェアなども提供が増えた。
1958年ワールドカップ スウェーデン大会ではブラジル代表がアンブロのユニフォームを使用して初優勝。17歳のペレが輝かしいデビューした大会。1962年チリ大会でも2連覇。
1959年には世界で初のレプリカユニフォームキットを発売。今でこそ普通のレプリカユニフォームだが、アンブロがその先駆けになっている。80~90sの古着のアンブロのユニフォームにも「レプリカキット」と書かれている。
1966年のワールドカップ イングランド大会。自国開催となったイングランド代表は自国のブランド「umbro」のユニフォームを身に着けて初優勝。約60年経った今でも、意外とこの1回しかイングランドは優勝していない。この大会では参加16チーム中、15チームがアンブロのユニフォームだったらしい。さらに国内リーグでも85%のクラブがアンブロのユニフォームを使用しており、世界的に人気が高まっていく。
1974年には創業者の1人、ハロルド・ハンフリーズが亡くなり、息子のスチュアートとジョンが後を継いだ。このタイミングでお馴染みのダブルダイヤモンドロゴが誕生。高品質なユニフォームを提供し続け、「サッカーのディオール」とも呼ばれるブランドに成長。
1980年代の名ストライカー アラン・シアラーが17歳の時にアンブロの宛にスポーツ用品をください、という手紙を出したところ、アンブロはスパイクを提供。その後プロになったシアラーは正式にアンブロと契約した。1980年代後半にはumbrosという愛称のハーフパンツがアメリカで流行っていたようだ。
1990年代に入るとチェルシー、リヴァプール、マンチェスターユナイテッドなどのクラブチーム、そしてイングランド、スウェーデン、アイルランドなどの各国代表の実力、人気に合わせてアンブロは世界的なトップブランドになった。この時期がアンブロにとっての黄金期であり、古着のユニフォームでも特に高い。
それに加え、1990年のブリットポップモーブメントもアンブロの人気の理由の1つ。ブラー、オアシスに代表される、ブリットポップという音楽のジャンル。特にリアム・ギャラガーが着用していたマンチェスターシティのユニフォームやドリルトップ、ナイロンハーフコートなどが古着業界では有名。当時のスタイリングはブリットポップファッションと呼ばれ、古着のジャンルになっている。のちにリアム自身のブランド「PRETTY GREEN」はアンブロとコラボした。
アンブロ ウェア”UMBRO×PRETTY GREEN コレクション”|UMBRO(アンブロ)|
日本では1990年代のタグにアクロスとスズキスポーツという社名が記載されているが、詳細不明。1998年にアディダスのライセンス契約が終了したデサントが入れ替わりでアンブロを取り扱い開始。1999年にデサントが日本での商標使用権を取得し、現在の日本での販売元になっている。2013年には韓国でのアンブロ商標権取得。漫画『エリアの騎士』の主人公・逢沢駆と2014年に契約している。
引用/参考 アンブロ - Wikipedia
2000年にロゴが変更になり、ユニフォームなども現在のデザインに近くなった。2007年のナイキ買収により、イングランド代表ユニフォームもナイキに変更。
2007年、世界のメジャースポーツ用品メーカーであるナイキに買収された。2012年末にはアメリカのイコニックス・ブランド・グループに売却された。日本ではデサントが独立して契約しているので大きな影響はなかったらしい。
日本では2003年からガンバ大阪がアンブロを着用。2005年にJリーグ初優勝し、その後の黄金期を迎えたガンバ大阪の人気や2002年日韓ワールドカップでのアンブロユニフォームを着たイングランド代表ベッカムの人気などにより、2000年代にアンブロの知名度が高くなった。
ナイキから売却された後、2013年にアンブロはロゴに小文字umbroを追加し、クラシックなデザインに戻す。ナイキの買収とイコニックス・ブランド・グループへの売却をきっかけに、2010年前後に世界的にアンブロのユニフォームを採用するチームが少なくなった。イングランド代表も2013年からナイキを使用。
Jリーグでは長年アンブロだった柏レイソルが2010年に変更、サガン鳥栖も2012年にアンブロから変更になった。レイソルのアンブロユニフォーム、スタイリッシュで好きだったな~。さらに一番アンブロのイメージがある、ガンバ大阪も2023年からヒュンメルに変更なって、最近はアンブロを使っているJリーグのチームは少なくなった印象。
一方で、デザイン性やリアム・ギャラガーの着用、イングランドの歴史と共に歩んだバックグラウンドなどの要素が魅力となり、根強いファンは多い。ストリートブランドとのコラボなど、幅広い展開でサッカーユニフォームにとどまらないファッションブランドとして成長している。韓国では特に人気のブランドで、スポーツを超えたファッションアイテムとして人気が高い。
写真引用 HISTORY | フットボールブランド アンブロ日本公式サイト | umbro
Our Story | umbro アンブロの英語サイトにはもっと詳しく歴史が書かれている。
参考 アンブロ、韓国で爆売れ 「地味なサッカーブランド」じゃない評価:朝日新聞デジタル
アンブロのロゴ、意味、タグの年代判別
※以下に記載されている情報はアンブロ社やデサント社の公式情報ではなく、私個人で調査した情報や推測が含まれております。あくまで参考情報として、お読みください。
1924年の創業当初から菱形のロゴで、1974年からダブルダイヤモンドになる。ダイヤモンドの菱形は「輝き続けるブランドになる」という意思が込められており、2つのダイヤは2人の創業者兄弟を表している。
サッカー関連の古着で見つかるのは90s以降が多い。70~80sのビンテージは数が少なく、見つかりにくいので値段も高い。
公式のデータはないが、私のコレクションや経験から推測すると、80年代の小文字ロゴまではイングランド製、一部アメリカ製。90年代以降は中国、韓国、タイ、日本などのアジア生産に切り替わる。2000年以降はほぼ中国生産で、一部トルコ製。
私物を全部紹介したら約1時間の動画になってしまった。ビンテージアンブロはまとまって紹介されていることがないので、1つでもお気に入りが見つかって、古着探しのヒントになれば嬉しいです。
ロゴの種類、年代判別
細かい変更はあるが、アンブロのロゴは主に4種類。
70~80年代のデカダイヤ小文字。
90年代のデカダイヤ大文字。
2000年代の細ダイヤ。
2010年代のデカ丸ダイヤ。文字は小文字。
70s以前のロゴを実際に見ることは滅多にない。近年のナイロンジャケットブームで古着屋でアンブロを見ることも少し増えたが、体系的に年代判別が整理されていないので誤って売られていることも多い。2020年モデルが80sだと書いている古着屋もあった。
2000年代以前のデカロゴはダブルダイヤモンドの角が尖っている。2000年代以降は角が丸みを帯びているのが異なる点。2013年以降のロゴは小文字もほぼ同じなので、ダブルダイヤモンドの角でロゴの年代判別が可能。
引用 How to tell if Umbro is vintage: Labels, Logos and Tips – OneOff Vintage
テーラードインイングランドと書かれたロゴのタグも2008年以降の製品。
ビンテージアンブロの年代判別、生産国、タグ表記、ジップメーカー
タグの違いはほぼ見られず、ロゴの違いだけで年代は判別できる。2000年代以前はほぼ青いタグで統一されている。内タグが消えていることも多く、製造国がわからないことも多いが、90s以降のロゴであればほぼアジア産だと推測できる。
60年代以前のビンテージアンブロ
滅多に見ることはないが、極稀にビンテージショップで見ることができる。60年代ごろのサッカーシャツはブランド名が入っていないことが多い上に、レプリカユニフォームなどがほぼなかった時代。サッカー関連のアイテムよりもボーイスカウトなどのワークやアウトドアアイテムの方が市場には出てくるようだ。
ウールのスポーツジャケットや戦後の影響で、アンブロが一部手掛けていたワークやミリタリーのアイテムをビンテージ古着で見つけることができる。
70~80年代のデカダイヤ小文字タグ
レプリカユニフォームでもなかなか見つからない、70~80年代のアンブロ。近年特に価格が高騰しているアイテム。ジッパーは無記名のことが多い。
この年代は主に英国製。タグにも表記されている。THE CHOICE OF CHAMPIONというタグは珍しい。
胸の刺繍ロゴと首元タグのロゴが異なるパターンもある。移行期のモデルだろうか。
1992年のスコットランド代表ユニフォーム。90年代の製品だが、採用されたのは90年ごろなので小文字デカロゴのままだ。
これも英国製なので、90年代前半は一部英国製が残っていたのかもしれない。おそらく、80年代ごろから一部アメリカ製も見つかる。
80年代のアメリカ製スウィングトップ。これもレアなアンブロ。デカダイヤ小文字刺繍とタグ。アメリカ古着らしい紙タグで、英語とフランス語でアメリカ製と書かれている。FABRIQUE AUX E.U.はフランス語でMADE IN U.S.A.。EUって書いてあるとヨーロッパだと思ってしまうよね。
1959年以降のアメリカ古着に見られるRN(Registered Number)がついていて、RN14627。90sのUSA製アンブロにも同じ番号がついている。データベースサイトで調べてみたが、STONE MFG COという違う会社が出てきた。番号が変わったのか、当時の輸入か製造元だったのだろうか。
ジップはYKK。チンストラップ付きで、襟の下の隠れたところにダブルダイヤモンドテープが貼られているのがかっこいい。
この年代のタグで香港製も発見。RNナンバーはアメリカ製と同じだった。
90年代のデカダイヤ大文字タグ
ビンテージのアンブロで最も多く見るのがこの年代のタグ。
珍しいプルオーバー、スウェット類。左はドリルトップと呼ばれるレア古着。90年代に入り、サッカーがビジネスとして商業的に世界的に大きくなり、服はアジアでの大量生産が始まった。ロゴがやたら大きく刺繍されているアイテムがあるのがこの時期の特徴。
古着やビンテージと同じで、世界的に産業が大きく変わった時期だ。サッカーも同様で多くのレプリカユニフォームなどが製造され、販売され始めた。
タグは青に白刺繍でほぼ統一。サイズ表記は複数種類ある。
たまに白タグもある。
フランス語で中国製と書かれたタグ、90sによく見られる「Assembly in MEXICO」タグなども見つかる。中国、タイ、アメリカの生産国表記が多い。マレーシア製、韓国製もある。中にはスペイン語、フィンランド語で書かれたタグもあるが、製造国は不明なことが多い。生産は中国で、輸出国向けにタグ表記の言語を変えていたと思われる。
1991年頃のブラジル代表。1994年のW杯アメリカ大会もアンブロを使用。謎のGサイズ。タグはポルトガル語で書かれているが、タグが消えている上に一部切られていて、生産国は不明。同じデザインでアクロス日本製やレプリカキット英国製もネットで見つけた。1994年モデルだと、ブラジル製もあるようだ。
ジップは無記名が多いが、中にはYKKのVISLONジップ、SCILジップの個体もある。SCILは古着では見ないジップなので調べたがよくわからなかった。中国か台湾のジップメーカーのようだ。90年代の中国製、日本製についていることが多い印象。タイ生産はYKKが多い。
90年代のデカ大文字ロゴタグなのに内タグは80年代の小文字タグのスウェット。
スペイン語とスペインのREDONDELAという都市が記載されている。スペインでも生産されていたのか、販売代理店の表記だろうか?
90年代にはスズキスポーツの日本製、アクロス扱いのアンブロも存在する
デサントがアンブロを扱う前の90年代前半には日本製のアンブロ製品が存在する。
90年代タグのウィンドブレーカー上下。ジップはSCIL製。
内タグには株式会社アクロス。デサントが扱う前に別の会社がライセンスを保有していたようだ。
ネットでは80年代小文字タグでもアクロス扱いを発見した。現在、リーボックなどを扱うアクロスインターナショナルかと思ったが、会社設立が2000年なので違うようだ。このアクロスという会社は調べてもわからなかった。
体操着のようなハーフパンツ。
このチョイスオブチャンピオンタグはあまり見ない。
スズキスポーツという社名が入っているが、この会社も調べてもわからなかった。
2000年代の細ダイヤタグ
このロゴが日本では最も馴染みがあるのではないだろうか。
ダブルダイヤモンドが細長くなり、よりスタイリッシュになった。このロゴがついた2002年のイングランド代表ユニフォームは今でも人気。
タグの表記内容が増え、生産国はほぼ中国になる。印刷技術の向上により、タグが消えることがほぼなくなった。
日本規格のアンブロは内タグに株式会社デサントの表記がある。
2010年代のデカ丸ダイヤタグ
2008年からダブルダイヤモンドの形がクラシックに戻り、2013年ごろから小文字が追加された。
生産はほぼ中国。写真の2枚はヨーロッパ規格なのでトルコ製。大体、左脇下にこの
内タグがついている。
バングラデシュ製のタグ。脇下タグはなく、首元タグのみ。
要注意なのが、このタグ。黒に白ロゴ、デカダイヤ大文字。90年代のタグとほぼ同じだが、これは2010年以降の復刻モデルなどについていることが多いタグ。はっきりと何年から存在するのか確認ができていないが、デサントの内タグがついている場合は、少なくとも2000年以降だと思う。
首元のタグだけで90年代と判断せず、黒タグの場合は内タグとジップを要確認。ジッパーはYKKの5Cサイズが使われていることが多い印象。2010年以降に復刻などで発売されたProTrainingシリーズはデザインや肩テープが当時のデザインと同じなのに安く出回っているので、アンブロの中では狙い目のアイテム。
様々なブランドやバンドとumbroのコラボアイテム
N.ハリウッド、シュプリーム、COMOLI、パレススケート、BoTT、timberland、Tacchettee、オフホワイト、PRETTY GREEN、DiasporaSkateboards、アリーズ、ユナイテッドアローズ、京都大作戦などのロックフェス。数えきれないほどのブランドとコラボしているアンブロ。
リアム自身のブランド「PRETTY GREEN」もあるし、イングランド代表の応援歌にもなっているニュー・オーダーとのコラボなど、バンドや音楽カルチャーとも親和性が高い。
ニュー・オーダー、アンブロとのコラボレーション・ライン第2弾が発売 | NME Japan
近年、多くのブランドとコラボしているアンブロ。話題性のあるコラボは一瞬で売り切れになってしまう。過去のコラボアイテムを全て把握しているわけではないが、一部紹介。
「パレス スケートボード」がアンブロとコラボ、1990年代のアイコニックなサッカーアイテムが着想源
アンブロとCOMOLIがコラボ、ルーズなシルエットのベンチコートを発売
https://www.ssense.com/ja-jp/editorial/fashion-ja/umbros-new-luxury?lang=ja
参考リンク
The History Of Umbro | Vintage Online | Bragvintage.com
NIKEがUMBROの買収を発表!: Football Shirts Voltage .com(サッカー各国代表&クラブユニフォーム)
ナイキ、買収したアンブロを切り離す - 塚田盛彦のつれづれなるままにサッカー
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