日本全国にある、ミクロネシア連邦ヤップ島の石貨を見に行ってみた!

日本全国にあるヤップの石貨を見に行こう

日本全国にある、ミクロネシア連邦ヤップ島の石貨を見に行ってみた!

ミクロネシア連邦ヤップ州で実際に使われていた、石のお金(石貨)。石貨はヤップ島にはない石灰岩で出来ている。500km離れたパラオで切り出した石灰岩を「いかだ」でヤップまで運んでいた。なのでミクロネシア連邦国外で実物を見ることができる場所はほとんどない。日本の下記の場所で実際に見てきた。

  1. 東京の日比谷公園に無造作に1枚置かれている。
  2. 大阪の 石貨 | 国立民族学博物館 2枚展示されている。
  3. 沖縄の美ら海水族館がある海洋博公園内の海洋文化館に1枚展示されている。
  4. 神奈川県辻堂駅の商業オフィスビル「アイクロス湘南」レプリカの石貨がある。
  5. 東京日本橋の貨幣博物館に1枚展示されている。
  6. 札幌の北海道大学総合博物館に1枚展示されている。
  7. 野外民俗博物館リトルワールドに数枚展示されているが、レプリカらしい?(未訪問)

ヤップの石貨をミクロネシア連邦国外で実物を見ることができる場所はほとんどないはずだが、調べるとけっこう日本全国にあることがわかった。実際に見てきた。

大阪・万博記念公園にある国立民族学博物館

日本全国にある、ミクロネシア連邦ヤップ島の石貨を見に行ってみた!

まさにダンジョンのような、奥が深い博物館「国立民族学博物館」。興味がある人は1日中いられる場所だ。最初の展示コーナーが大洋州・オセアニア地区で、ミクロネシア連邦関連の展示物がたくさん並んでいる。中でも目玉は写真右側に写っている船、チェチェメニ号の現物展示だろう。この船は星などを頼りに、電気や電波を使わないで太平洋を横断するスターナビゲーションを1975年に行った現物品なのだ。

チェチェメニ号 | 国立民族学博物館

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ミクロネシア連邦の展示物の中に、ヤップの石貨が2枚ある。

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大きな方は1977年収集とある。太平洋戦争後にミクロネシア連邦がアメリカの信託統治地域だった頃に日本に来たのだろう。「お金」という表記がなく、好感を持てる説明文だ。

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驚いたのは小さい方の石貨。1914年収集、とある。現ミクロネシア連邦周辺の島々が第一次世界大戦の結果、日本統治時代が始まった年だ。となると、おそらく日本に最初に渡ったヤップの石貨であり、日本に現存する最古の石貨でもある。

ミクロネシア連邦の展示物など、国立民族学博物館(大阪) - YouTube

国立民族学博物館で見れる展示物の一部をスライドショー動画にした。

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石貨がパラオからヤップに運ばれていたように、大洋州では海を超えた貿易がよく行われいた。離島の住人になって、ヤップと貿易をしてみるゲームがあり、各島でどんな物が交換されていたのか勉強できる。

沖縄の海洋博公園内、海洋文化館

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美ら海水族館がある、沖縄海洋博公園。1975年の海洋万博を記念して作られた公園だ。那覇からは少し遠いが、美ら海水族館が人気で一度は行ったことがある人が多いのでは。公園内には水族館以外にも植物園などの施設があり、1日楽しめる。

大阪の国立民族学博物館に展示されているチェチェメニ号が伝統航海術でミクロネシア連邦から航海をしたのは沖縄海洋博に向けた航海イベントだった。

公園内の施設の1つ、海洋文化館・プラネタリウムは入場料190円でかなり見応えのある、穴場施設。太平洋の島々の文化などがわかりやすく紹介されている。その中にヤップの石貨も展示されていた。

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太平洋諸国ではイルカの歯や貝殻などをお金(通貨ではなく価値や信頼の媒体として)にしていた、という内容の展示にヤップの石貨が代表例で展示されている。「人と人を結ぶ」という表現が現代の通貨を異なる価値であることを示しており、個人的には好印象の展示だった。

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日比谷公園の石貨に比べると小さいが、綺麗な円形をしている。

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1970年代に収集されたと書いてあるので、海洋博のために収集されたのだろうか?どうやって運ばれたかは不明。もしも、チェチェメニ号で運んできていたら大航海なのですごい価値になったのかもしれない。

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パラオから運んで作った、という事実が書かれており、良い展示紹介文。

神奈川県辻堂駅にはなぜかレプリカの石貨がある

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辻堂駅のの商業オフィスビル「アイクロス湘南」。ヤップの石のお金のレプリカがある。Instagramのフォロワーさんが発見して、教えてくれた。一帯なぜこんなところにわざわざレプリカの石貨が?

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西側のエントランスに入ると、エレベーターホールに石貨がある。アイクロス湘南は10階建ての普通の商業オフィスビル。

〒251-0041 神奈川県藤沢市辻堂神台2丁目2−1

Googleマップ

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雨か湿気でガラスが曇っていた。

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読みにくいが、ミクロネシア連邦ヤップ島の石の貨幣を南アフリカ原産のオリーブグリーンという石で作成した、レプリカらしい。なぜこんな物をわざわざレプリカで作成しようと思ったのか気になる。

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持ち運ぶシーンを再現したのか、木の棒が中央の穴に通っていた。

東京 日本橋の日本銀行貨幣博物館

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日本銀行に併設する、貨幣博物館にもヤップ島の石貨が展示されている。

Google マップ

正式名称は日本銀行金融研究所 貨幣博物館。入場無料。

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入り口では手荷物検査がある。

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貨幣博物館の展示室は撮影禁止だが、ヤップ島の石貨は撮影可能な展示室外のロビーに展示されている。

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丁寧に管理されているからか汚れや欠けはないように見える。

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岩の中でも特に白い部分でできているようで、他の日本国内で見れる石貨に比べて白くて綺麗だ。

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不動産売買や労働の対価、婚礼の贈答に使われている、という紹介とヤップ島現地の写真がある。ずっと「せきか」と読んでいたけど、「せっか」が正しいらしい!?

北海道大学総合博物館

札幌にある北海道大学、構内の博物館にもヤップの石貨が展示されている。

https://www.museum.hokudai.ac.jp/

入館手続きなどは不要で、観光客も無料で閲覧できる。大学構内がもはや1つの街くらい広いので、みんな自転車で構内を移動していた。構内にポロクル(ドコモ・バイクシェア)があったのが印象的だった。

北12条駅から徒歩15分ほどで北海道大学総合博物館に到着。

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3階建てで、じっくり見ると1時間くらい。寒い地域での民族や海洋系の研究など、見ていて面白い展示もあり。

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探偵はBARにいる、のロケ地でもある。

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2022年9月現在、ヤップの石貨は2階の北大のいま、のコーナーに展示されている。以前は3階や1階などにあったようで、展示場所が変わっているようだ。

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1階に100円返却式の無料コインロッカーあり。

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経済学部のコーナーにヤップの石貨は展示されていた。

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なんか、黒いな。ヤップ島現地で見た石貨も黒いのがあった。

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1937年から北海道大学で補完されているそうで、古い木製の札がついている。

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石貨

1937(昭和12)年6月、北海道帝国大学教授(当時)上原三郎氏が南洋諸島の産業調査に従事した際に、当時、大日本帝国の委任統治領であったミクロネシア連邦のヤップ島より持ち帰った。その後、永きに渡り北海道大学附属図書館本館に保管されていたが、2009年春に総合博物へ移管された。

石貨は、伝統的な貸借関係や詫びなどの気持ちを表すツールとして、現在も用いられている石の貨幣で、現地では「ライ」「フェ」などと呼ばれる。サイズも直径数センチから2.5m以上の巨大なものまである。材質は石灰岩で、パラオの鍾乳石を切り出してカヌーで運ばれてきたものとされている。戦中・戦後に破壊されたり海外に持ち出されたものも多く、現在では石貨のヤップ州以外への持ち出しは一切禁止されている。石貨と併せて移管された木製の銘板には、この石貨が北大へ来た来歴等が記されている。

寄贈:上原報三郎/産地:ミクロネシア連邦・ヤップ島/所蔵:北海道大学総合博物館

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中央には亀裂?が入っている。人が触ってきた跡なのか、なんかツヤツヤしていた。

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大きさはあまり大きくなく、直径60cm程度。大きさ比較のために手を近づけただけで、触れていはいない。欠けているところから、石灰岩が見えた。北海道大学のヤップの石貨は黒かった。

他にもヤップの石貨が日本国内にあるらしい

箱根の彫刻の森美術館、愛知の野外民族博物館 リトルワールドにも石貨がある。

ヤップ島舟小屋の屋根が…! | 学芸 | スタッフブログ | 野外民族博物館 リトルワールド

日比谷公園にある、ミクロネシア連邦ヤップ島の石貨について考える

ミクロネシア連邦ヤップ州で実際に使われていた、石のお金(石貨)。石貨はヤップ島にはない石灰岩で出来ている。500km離れたパラオで切り出した石灰岩を「いかだ」でヤップまで運んでいた。日本のいくつかの場所で見ることができる。石貨はお金だと解説されていることも多いが、元々はいわゆる通貨よりも貴重なもので、ヤップの人たちがとても大事にしていた物。この記事では、ヤップ現地に行って、私が考えたことや、現地での価値や使われ方について考えてみた。詳しくはこちら。

日比谷公園にある、ミクロネシア連邦ヤップ島の石貨について考える - Travel Kurarin