ソンドン洞窟5泊6日体験記!ハンエン洞窟からグレート・ウォール・オブ・ベトナムまで全行程

ベトナム中部のフォンニャ=ケバン国立公園には、体積約3,850万立方メートル、全長約9kmとされる世界最大の天然洞窟「ソンドン洞窟(Hang Son Doong)」がある。内部には地下河川、巨大な石筍、天井の崩落によって生まれた2つのドリーネ(洞窟の天井が崩れた窪地)、太陽光が差し込む地底の森林まで存在し、一般的な観光洞窟とはまったく異なる世界が広がっている。

私は唯一ソンドン洞窟のツアーを催行しているOxalis Adventure(オクサリス)のツアーに参加した。ハンエン洞窟とソンドン洞窟の中で3泊しながら、4日間かけて洞窟を通り抜けた。ツアー前後のホテル泊を含めると全体は5泊6日で、ジャングルと川を越え、高さ約90mの崖を下り、最後は「グレート・ウォール・オブ・ベトナム」を登って地上へ戻る。

この記事では、ホーチミンからドンホイへの移動、フォンニャでの準備、ハンエン洞窟での最初のキャンプ、ソンドン洞窟への進入、ドリーネ1とドリーネ2、最後の難関まで、実際の5泊6日の流れを時系列で紹介する。現地で感じた難易度、睡眠や濡れた服の問題、持っていって役立った物、逆に不要だった物についてもまとめた。

ソンドン洞窟は景色だけでなく、洞窟キャンプも特別だった

ソンドン洞窟で特に印象に残った景色は、ドリーネ1「Watch Out for Dinosaur」だった。巨大な天井の穴から差し込む太陽光、洞窟内を漂う霧、苔に覆われた石筍、光を受けながらゆっくり落ちていく水滴や葉を眺めるのがすごく綺麗だった。写真や動画でも壮大さは伝わるが、空間の大きさは、現地で見ないと分からない。

一方、参加前に一番心配していた体力面は、普段フットサルをプレーしたり、近所の山を歩くなどの準備をしていたこともあり、個人的には想像していたより余裕があった。急斜面や川渡りは多いものの、頻繁に休憩を取りながらグループ全体でゆっくり進み、危険な場所ではセーフティチームがロープやハーネスで支えてくれる。ただし、公式難易度は最高レベルの「Level 6 - Hard」であり、普段の運動量や登山経験によって感じ方は大きく変わる。一応、今回のメンバーの中には50代の人や、わりと太った人もいたが、全員普通に完遂できた。

あと、大変だったのは、濡れた服が臭い、洞窟内でシャワーを浴びられない、薄いマットで3晩寝て腰が痛いことだった。耳栓とアイマスクを忘れて寝にくいし、腰も痛くなったのがしんどかった。それでも、巨大洞窟の中にテントを張り、電波のない環境で参加者やスタッフと食事をし、暗闇の中で眠る体験まで含めて、このツアーに参加してよかったと思っている。

ソンドン洞窟ツアーは5泊6日、洞窟探検は3泊4日

ツアー代金は約48万円。現地集合、現地解散。Oxalisのソンドン洞窟ツアーは全体で5泊6日だが、洞窟内を歩くのは2日目から5日目までの3泊4日である。初日はフォンニャで装備確認とブリーフィングを行い、洞窟を出た日はチャイラップ・ファームステイに宿泊するため、「3泊4日の洞窟探検」と「5泊6日のツアー全体」を分けて考えると分かりやすい。全ての行程の料金はツアー代金に含まれている。

日程 主な行程 宿泊先
1日目

ドンホイ到着、フォンニャ散策(14時までに必着)

装備確認、ブリーフィング

Commander Lodge
2日目 ジャングル、バン・ドゥーン村、ハンエン洞窟

ハンエン洞窟

キャンプ

3日目 ハンエン洞窟→ソンドン洞窟、地下プール Level Playing Fields
4日目

ジェームズ・ボンド・ホール

ドリーネ1、ドリーネ2

ドリーネ2近く

キャンプ

5日目 パッシェンデール通路、グレート・ウォール Chày Lập Farmstay
6日目

朝食、軽食、空港送迎

カヤック、マッサージ

私は今回は延泊した

私は帰りのフライトをANAマイルで予約した都合で、6日目もチャイラップ・ファームステイにもう1泊した。チャイラップファームステイでは自転車、カヤックは無料で、マッサージは4,000円程度。これらは延泊しなくても楽しめるが、あまり時間に余裕はない。

1日目|ドンホイからフォンニャへ移動、装備確認とブリーフィング

ホーチミンからドンホイへ移動し、Commander Lodgeに宿泊

朝5時過ぎ、ホーチミンのタンソンニャット国際空港・国内線ターミナルからドンホイへ向かった。ドンホイ空港にはOxalisのスタッフが迎えに来ており、送迎車で約45分かけてフォンニャへ移動する。ツアー前日の宿泊先は、Oxalisが運営するCommander Lodgeだった。

部屋にはエアコン、冷蔵庫、ホットシャワー、タオル、歯ブラシ、シェービングキット、シャンプーなどがあり、無料の水とコーヒーも用意されていた。洞窟内で3泊した後に振り返ると、普通のベッド、シャワー、電源があることのありがたさがよく分かる。宿泊者は自転車を無料で借りられたため、17時からの説明会まではフォンニャの町を走ってみることにした。

フォンニャの町と洞窟探検博物館を見学

フォンニャはソン川沿いにホテル、レストラン、カフェ、旅行会社が並ぶ、フォンニャ=ケバン国立公園観光の拠点である。午前中は人が少なく静かだったが、多くの旅行者は朝からフォンニャ洞窟などのツアーへ出発しており、昼になると観光船が次々と町へ戻ってきた。

散策中には、Oxalisのオフィス近くにある「Phong Nha Caves Exploration Museum」にも立ち寄った。館内では英国・ベトナム洞窟探検隊による調査の歴史、手描きの洞窟地図、過去に使われた装備、BBCやナショナルジオグラフィックの映像などを無料で見学できる。Oxalisの案内では、2026年時点でこの地域に472の洞窟、総延長254km以上の洞窟通路が記録されているが、現在も未調査の地域が多く残っている。

有料のソンドン洞窟5D VR体験もあったが、スタッフからは、実際に洞窟へ行く予定なら帰ってきてから体験した方が比較できて面白いかもしれないと教えてもらった。ブリーフィング時にも博物館へ入るが見学時間は短いため、展示をじっくり見たい人は自由時間に訪れるのがおすすめである。

7kgの荷物を分け、17時からブリーフィング

ポーターに運んでもらえる荷物は、Oxalisから貸し出される約15Lの赤いセミドライバッグ1個で、上限は7kgだった。着替えやキャンプサイトで使う物を入れ、歩いている間に必要な水、カメラ、薬、日焼け止めなどは自分のバックパックに入れる。預けたバッグは次のキャンプサイトまで開けられないため、荷物の分け方は重要。

私は自分で背負うバックパックとしてカリマーのリッジ30Lを使い、靴は水が抜けやすい非GORE-TEXのメレル Agility Peak 5を用意した。ツアー中は何度も川を渡り、靴の中まで完全に濡れる。防水靴は一度入った水が抜けにくいため、濡れない靴より、濡れても排水しやすく乾きやすい靴の方が向いている。

17時からツアーメンバーと合流し、行程、洞窟内での注意、ハーネスを使う場所などの説明を受けた。靴とバックパックの確認、ヘッドライトを持参しているか、水筒を借りるかといったチェックも行われ、最後に同意書へ署名する。

説明会と夕食を終え、Commander Lodgeへ戻って就寝。

2日目|ジャングルと川を越え、ハンエン洞窟でキャンプ

荷物と貴重品を預け、ジャングルトレッキング開始

朝食後、7kg以内にまとめたセミドライバッグをポーターへ預けた。パスポート、現金、クレジットカードなど、洞窟内で使わない貴重品はタグを付けてオフィスで保管してもらえる。新品の手袋を受け取り、車で約30分移動した後、10時9分にトレッキングを開始した。

前半はジャングルの長い下り坂だった。高い木に咲くラン、編み物やロープの材料になるラタンなどを観察しながら進み、15~20分おきに短い休憩を取る。訪問日は曇っていたため暑さはそれほど厳しくなく、グループのペースも想像していたよりゆっくりだった。

谷まで下りると、ラオトゥオン川沿いを歩きながら何度も川を渡る。水は想像していたほど冷たくなく気持ちよかった。この最初の川から最後のツアー終了時まで、トレッキング中はほぼずっと足は濡れた状態になる。

バン・ドゥーン村で昼食

11時30分ごろ、ブルー・ヴァンキエウの人々が暮らすバン・ドゥーン村(Ban Doong)へ到着した。ガイドの説明では、訪問時には11家族、約60人が暮らしていた。村にはOxalisが建設を支援した学校があり、教員が交代で滞在しながら子どもたちに授業を行っているという。

Oxalis Foundationは、学校やソーラーパネルなど、村の生活環境を支える活動を続けている。電気が使えるようになった後、政府から贈られたテレビを見るよりも、大きなスピーカーをつないでカラオケをする方が人気だったという話が印象に残った。村ではパン、バナナ、肉、スープなどの昼食を食べ、13時に再出発した。

川を何度も渡り、巨大なハンエン洞窟へ

午後も川沿いを進み、何度も水の中を歩いた。乾季は水位が低いが、周囲の岩や木には雨の多い時期に水位が大きく上がる痕跡が残っている。14時20分ごろにハンエン洞窟の入口手前で休憩し、ヘルメットとヘッドライトを装着して洞窟内へ入った。

ハンエン洞窟は全長約1.6km、最も広い場所は幅約200m、天井は最大約145mに達する巨大洞窟で、Oxalisでは世界第3位の規模と紹介されている。

洞窟内を流れる川と大きな開口部が作る景色は、ここが翌日に入るソンドン洞窟の前座であることを忘れるほど壮大だった。世界第2位はマレーシアのディア洞窟。ここも2年前に行ったことがあるので、気付いたら洞窟トップ3を制覇していた(笑)

地下湖で泳ぎ、洞窟の中で最初の夜を過ごす

洞窟の奥へ進み、小舟で地下湖を渡ると、巨大な空間の中にテントが並ぶキャンプサイトが現れた。10時過ぎに歩き始め、休憩を含めて15時30分ごろに到着したため、初日は思っていたより短く感じた。ポーターの皆さんが先回りして荷物と設備を運んでおり、テント内にはマット、枕、寝袋が用意されていた。

キャンプサイト前の湖ではライフジャケットを借りて泳ぐことができ、SUPも無料で使えた。水は冷たそうに見えたが、実際にはぬるくて入りやすい。巨大な天井を見上げながら水面に浮かぶ時間は非常に気持ちよく、シャワーを浴びられない環境でも、川の水で汗を流すだけでかなりさっぱりした。自然保護のため、石けんやシャンプーは使用できない。

飲料水、コーヒー、紅茶は無料で、歯磨き用と手洗い用の水も別に用意されていた。

トイレは水を流さず、使用後に籾殻などをかけるコンポスト式だったが、想像以上に清潔で臭いもほとんど気にならなかった。

夜は貸し出されたバッテリー式の扇風機が快適だったものの、鳥や虫の声、周囲の人の物音が聞こえるため、耳栓とアイマスクを忘れたことを早くも後悔した。

3日目|ハンエン洞窟を出て、ついにソンドン洞窟へ

ハンエン洞窟の巨大な出口からジャングルへ

朝6時30分ごろに起きた。約9時間横になっていたものの、硬めのマットと周囲の音で何度も目が覚め、腰も少し痛かった。夜は予想より気温が下がったため、途中で扇風機を止めて寝袋を使った。速乾性のシャツやインナーは一晩で乾いたが、厚手のソックスは湿ったままだった。

7時30分に朝食を食べ、8時40分に出発した。最初にキャンプサイトを見下ろせる高台へ登り、巨大な開口部から差し込む光と、砂地に並ぶ小さなテントを眺める。ハンエン洞窟の出口は高さ約120m、幅約110mあり、出口というより巨大な谷のように見えた。

洞窟を抜けた後は、川沿いとジャングルを約1時間歩いてソンドン洞窟へ向かった。膝から腰の深さまで水に入る場所もあり、靴と下半身は完全に濡れる。

途中ではヒルもいて、肌を露出していた参加者2人が昼食地点までに噛まれていた。長袖のコンプレッションウェアを着て、シャツをズボンの中へ入れていた私は被害を受けなかった。このツアーは乾季だったので、ヒルはかなり少なかったが、雨が降るとヒルはかなりたくさんいるらしいので本当に注意すべき。

ハーネスを装着し、高さ約90mの入口を下る

11時30分ごろに昼食地点へ着き、休憩後の13時にハーネスとカラビナを装着した。ソンドン洞窟の入口付近には、地元の森林に詳しいホー・カイン氏が1990年に入口を発見した際の印が残っている。ここからロープを使い、高低差約90mの急斜面を洞窟内部へ下っていく。

最初は足を滑らせそうで怖かったが、セーフティチームが上下から指示を出し、難しい場所では身体を支えてくれた。

ハーネスには常に安全ロープがつながっており、最も急な区間も10分ほどで通過できた。

外の光が急速に遠ざかり、地下河川の音だけが大きくなっていく感覚は、ソンドン洞窟へ入ったことを実感する瞬間だった。

地下河川と巨大石筍「Hand of Dog」を越える

洞窟の底へ下りると、地下河川、滝、巨大な岩、丸く削られた石、砂浜のような堆積地形が現れた。雨の多い時期には大量の水が流れ込み、砂、泥、石が運ばれるため、砂の城のような繊細な形は毎年少しずつ変化するという。ライトを消すと完全な暗闇になり、方向も距離も分からなくなる。橋を渡るのが楽しかった。

進むほど洞窟の天井と壁は大きくなり、人やスタッフのライトと比較して、ようやく空間の規模が分かる。途中には犬の前脚のような形をした巨大石筍「Hand of Dog」も現れたが、肉眼で見たスケールをカメラに収めるのは難しかった。

Level Playing Fieldsに宿泊し、地下プールで泳ぐ

16時ごろ、ソンドン洞窟内で最初に泊まるキャンプサイト「Level Playing Fields」へ到着した。地下河川より約50m高い砂地にテントが並び、奥には翌日向かうドリーネ1から入る光と霧が見える。巨大な洞窟内部では温度差と湿度によって霧や雲のようなものが発生し、前日のハンエン洞窟とはまったく異なる景色だった。まじでかっこいい。

休憩後はキャンプサイトの下にある「Fossil Passage」へ向かった。壁や岩には数億年前のサンゴや貝などの化石が残り、その先には地下プールがある。ライフジャケットとを着け、水温約16~18℃の水へ入るとかなり冷たかったが、全身を洗って一気にさっぱりした。ここでも石けんやシャンプーは使えない。

夕食時には、その日が誕生日だった参加者のために、スタッフが米、コーヒーの粉、マヨネーズなどを使ったのケーキを作ってくれた。

食後は紅茶と焼いたスイートポテトを食べ、参加者やスタッフと話しながら、洞窟の夜を過ごした。

4日目|太陽が差し込むドリーネ1と、地底の森林が広がるドリーネ2へ

ジェームズ・ボンド・ホールを越えてドリーネ1へ

2泊目のキャンプサイトは湿度が高く、干していた服は一晩たってもほとんど乾かなかった。乾いた状態で使いたい服や寝間着は、就寝前にドライバッグへ戻しておいた方がよい。この日は川へ入らず、9時にキャンプサイトを出発して終日ソンドン洞窟の内部を歩いた。

最初の大きな見どころは「ジェームズ・ボンド・ホール(James Bond Hole)」だった。岩に開いた巨大な円形の穴が、映画『007』シリーズのオープニング映像を思わせることから名付けられたという。

ハーネスとカラビナを使って岩壁を進む。ガイドの説明では約40m下に地下河川が流れていた。

梯子や巨岩の間を登ると、ドリーネ1「Watch Out for Dinosaur」に到着する。ドリーネとは、石灰岩が浸食されたり、地下空洞の天井が崩落したりして生まれる巨大な陥没地形である。ソンドン洞窟には2つの大規模なドリーネがあり、崩落した天井から太陽光と雨が入ることで、地下とは思えない景観と独自の植生が作られている。

ウェディングケーキとファイトカルスト

ドリーネ1を象徴する巨大な石筍は「ウェディングケーキ」と呼ばれている。石灰分を含む水が長い年月をかけて堆積し、段々に重なったケーキのような形になった。表面は苔や藻に覆われ、遠くから見ると巨大なモリゾーのようにも見える。

この周辺では、鉛筆の束のように尖った「ファイトカルスト(Phytokarst)」も見られた。ファイトカルストは植物やサンゴそのものではなく、シアノバクテリアなどの生物活動によって石灰岩や方解石の表面が少しずつ溶かされて形成される微地形で、光の入る方向へ伸びるような形が特徴である。

緑色の石灰岩と水たまりが広がる場所で、12時からチャーハンを食べた。ツアー料金の3,000USDにかけて、スタッフが「ここでのフライドライスは3,000USD」と冗談を言っていた。水面には洞窟の景色がきれいに反射していた。

ここでは約1時間半、移動していく太陽光と霧を眺めながら過ごした。訪れた時期に、これほど快晴になって強い光が差し込むのは珍しいという。水滴や落ち葉が光を受けながらゆっくり洞窟の底へ落ちていく光景は、5泊6日の中で私が最も感動した場面だった。

地底の原生林「Garden of Edam」を歩く

13時30分に再出発し、ドリーネ2「Garden of Edam」へ向かった。ドリーネ2は高さ250m以上、幅約175mあり、崩落した天井から十分な太陽光と雨が入るため、洞窟内部に本格的な森林が形成されている。

見た目は完全に屋外のジャングルだが、周囲を囲む巨大な岩壁と、その両側に続く空間はすべてソンドン洞窟の一部である。

ドリーネの壁際を回り、砂で滑りやすい急斜面や、天井から崩れた巨岩同士の隙間を抜けて進んだ。途中で参加者の1人がGoProを落としたが、スタッフが探しに戻り、無事に発見された。カメラやスマートフォンには、落下防止ストラップを付けた方がよい。

白い砂の最後のキャンプサイト

14時50分、ドリーネ2の先にある最後のキャンプサイトへ到着した。9時に出発してから約6時間だが、撮影と昼食の休憩が長く、疲労はそれほど感じなかった。白い砂の上にテントが並ぶ景色は、洞窟の奥に作られた秘密基地のようだった。

ここは地下河川から離れているため、泳いだり身体を洗ったりできない。滑りやすい岩が多く、濡れると滑りやすくなるので水をまかないよう注意を受けた。テント、トイレ、更衣室、キッチン、バッテリー式の扇風機など、キャンプに必要な設備は揃っていた。

到着後は夕食まで昼寝をし、17時30分から肉、豆腐、唐揚げなどを食べる。洞窟内で過ごす最後の夜、開口部からはわずかに星を見ることができた。

5日目|Great Wall of Vietnamを登って地上へ

洞窟魚・洞窟真珠・Passchendaele Passage

最終日の朝、全身用のハーネスを装着して出発した。暗闇の中を進むと、光のない環境に適応した洞窟魚を見つけた。ライトを当ててもほとんど反応せず、目は退化しているように見えた。

さらに進むと、丸い石のような「洞窟真珠(ケーブパール)」が現れた。洞窟真珠は、砂粒などの核の周囲に方解石が積み重なり、水の動きによって回転しながら丸く形成される。多くの洞窟真珠が集まる一帯は「Pearl Harbor」と呼ばれていた。

その先にあるのが、Great Wall of Vietnamへ続くPasschendaele Passageである。約400m続く通路で、水位によって姿が変わる。ツアー催行期間中でも水量が多い時は湖になり、ボートやいかだで移動することがある。

今回は水位が低く、深い泥の中を歩くルートだった。泥に足を取られると靴が脱げるため、全員が靴ひもを締め直して進んだ。狭い場所では身体を横向きにしなければ通れず、場所によっては膝近くまで泥へ沈んだ。最初は不快だったが、しばらく歩いていると子どもの頃の泥遊びのようで少し楽しくなってきた。

高さ約90mのGreat Wall of Vietnamを登る

ソンドン洞窟ツアー最後の難所が「グレート・ウォール・オブ・ベトナム(Great Wall of Vietnam)」である。高さ約90mの巨大な方解石の壁で、観光客用ルートには約18mのステンレス製の梯子と、安全ロープを使って登る急斜面が設けられている。2017年に梯子と安全設備が整備され、それ以前のように同じルートを引き返さず、洞窟を通り抜けられるようになった。

参加者は1人ずつ登るため、最後尾を選んだ私は約1時間待ってから挑戦した。最初の梯子はわずかに揺れ、足元が暗くて下が見えない。梯子の先にはほぼ直角に見える急斜面が続くが、上下にセーフティスタッフが配置され、ハーネスを安全ロープへつないだ状態で進む。

腕の力だけで登ろうとすると大変だが、スタッフから何度も「Lean back」と言われ、ロープに体重を預けて壁に対して立つようにすると急に楽になった。上からロープでも補助してくれるため、コツをつかんだ後は想像していたほど力を使わなかった。実際に登っていた時間は約12~13分で、ようやく登り方が分かったと思った頃には頂上へ着いていた。

私はグレート・ウォール自体は想像より難しく感じなかった。一方で、大変だったと話す参加者もいたため、誰でも簡単に登れるという意味ではない。公式ではツアー全体が「Level 6/Hard」に設定され、一定の体力とトレッキング経験が求められている。

ソンドン洞窟を出て、3泊4日の探検が終了

グレート・ウォールを登り切った場所にはトイレと昼食用のテーブルがあり、洞窟内で最後となるパンとシチューを食べた。そこから約30分歩き、セローとみられる動物の骨や苔に覆われた急斜面を通って、ついにソンドン洞窟の出口へ到着した。

洞窟を出るとヘッドライトは回収されたが、外にも急な岩場が続くため、ヘルメットは着用したまま進んだ。個人的にはグレート・ウォールより、足場の悪い岩場を長時間下る区間の方が疲れた。ロープに頼りすぎると重心を取られる場所もあり、最後まで気を抜けない。

岩場を抜けて平坦なジャングルを歩き、13時20分にゴールした。冷たい水、ビール、スポーツドリンク、コーラなどが用意され、完遂を記念するメダルも受け取った。

4日間が長かったようにも、一瞬だったようにも感じ、終わった安心感と洞窟から出てしまった寂しさの両方があった。やっとまともなベッドで寝れる!腰が重い!

Chày Lập Farmstayへ移動し、泥だらけの服を洗濯

ゴール地点からバスに乗り、ツアー最後の宿泊先となるチャイラップ・ファームステイへ移動した。

ウェルカムドリンクを飲み、部屋でシャワーを浴びた後、洞窟で泥だらけになった服と靴下を有料のランドリーサービスへ出した。

数日間濡れたままで臭いも強かったため、自分で洗うよりホテルへ任せた方がよいと判断した。しかも安い。

夕方にはガイドや参加者と最後の夕食を食べ、ここでツアーとしての行程はほぼ終了した。翌日は朝食と軽食が付き、空港や駅などへの送迎を利用して帰る流れになる。

6日目|チャイラップ・ファームステイで休養

泥まみれだった洗濯物がきれいになって戻る

朝食会場にはフォー、パンケーキ、目玉焼きを注文できるコーナーのほか、サラダ、おかゆ、シチュー、ソーセージ、スティッキーライス、フルーツなどが並んでいた。洞窟でも毎日しっかりした食事が出ていたので、食事は全く困らなかった。

前日に預けた洗濯物は、泥の跡がほとんど分からないほどきれいになり、強かった臭いも洗剤の香りに変わっていた。Tシャツ、タイツ、靴下などをまとめて出し、料金は全部で約1,230円だった。ツアー後の衣類は自分で洗って乾かすのが時間的にも難しい状態なので、このランドリーサービスは非常におすすめ。

無料の自転車で周辺の農村を走る

雨が上がった後、宿泊者向けの無料自転車を借り、チャイラップ周辺を走った。ホテルでもらった地図を見ながら、田園風景、黄色い教会、集落を結ぶ橋などを回る。観光客はほとんどおらず、洞窟探検とは対照的な、静かなベトナムの農村風景を楽しめた。

私は延泊するため、この日にツアー代金に含まれていた部屋から、自分で予約した別の部屋へ移動した。延泊用の部屋の方が安かったが、机と椅子があり、シャワーとトイレも分かれていたため、個人的にはこちらの方が使いやすかった。

ライトランチ、チャイ川のカヤック、2時間のマッサージ

昼食には、ツアーに含まれていたライトランチ・バウチャーを使った。対象メニューから料理とドリンクを1つずつ選べる。ほかの参加者の多くはすでに出発しており、広いレストランはほぼ貸し切り状態だった。

午後は宿泊者向けのカヤックバウチャーを使い、チャイ川で1時間の無料カヤックを体験した。曇り空だったことに加え、帰りは流れに逆らって漕ぐ必要があり、思ったより疲れた。近くには約400mのジップラインや洞窟内の泥風呂で知られるダークケーブもあるため、まだ体力が残っていれば組み合わせることもできる。

カヤックの後は約2時間のマッサージを受けた。料金は約4,000円で、4日間歩いた後の身体がかなり軽くなったが、正直、マッサージは微妙だった。あれくらいのレベルなら自分でしっかりストレッチしても同じくらいな気がする。夕食はファームステイのレストランで豚バラ料理と空心菜を注文し、合計は約1,600円だった。

通常ツアーに含まれる範囲と、私が追加した延泊

通常の5泊6日ツアーには、洞窟を出た日のチャイラップ・ファームステイ宿泊、翌朝の朝食、軽食、ドンホイの空港や駅などへの送迎が含まれる。私が6日目に利用した自転車とカヤックは宿泊者向けの無料サービスだが、マッサージ、夕食、延泊分の客室は個人負担だった。

帰りの交通機関の時間が合えば6日目にそのまま移動できるが、洞窟探検後に急いで空港へ向かいたくない人は、もう1泊する選択肢も悪くない。洗濯、マッサージ、荷物の整理を済ませられ、身体を休めてから帰国ことができた。フォンニャの田舎らしいゆったりした空気も楽しむことができた。

実際に参加して分かった、体力より大変だったこと

トレッキングのペースは遅い。濡れた足元が続く

行程には急な上り下り、腰までの川渡り、ロープを使う区間、滑りやすい岩場がある。ただし、休憩は非常に多く、参加者の様子を見ながらゆっくり進むため、普段から運動していた私は筋肉痛になることもなく、体力的には余裕を持って楽しめた。

一方、川に入った後も濡れた靴とソックスのまま歩き続けること、洞窟内の湿度が高く服が乾かない。特に2泊目のキャンプでは、濡れた服を干しても翌朝までほとんど乾かなかった。予想していたので、日数分のウェアを持っていった。参加者の中にはほぼ同じウェアを着続けている人もいた。速乾性の化繊ウェア、乾いた寝間着を入れるドライバッグ、足を乾かした後に使うベビーパウダーは役立った。

薄いマットで3晩寝ることが一番つらかった

テントにはマット、枕、寝袋、扇風機があり、洞窟キャンプとしてはかなり快適に整えられている。それでも地面の硬さは感じるため、私は腰が重かった。持ち込み可能な範囲で軽量のマットを追加できれば、睡眠環境は改善すると思う。私は元々腰が弱いので、通常の人であれば気にならないかも。

また、キャンプサイトでは参加者、ポーター、鳥、コウモリ、虫などの音が聞こえる。耳栓とアイマスクは小さくて軽いため、必ず持っていった方がよい。私は両方を忘れたことを、初日の夜から後悔した。

食事とキャンプ設備は想像以上に充実していた

食事は毎日十分な量があり、チャーハン、肉、豆腐、スープ、パン、果物などが用意された。行動食として羊羹、柿の種、グミ、アミノバイタルなどを多めに持参したが、ほとんど食べなかった。塩分補給用のタブレットを少量持つ程度で十分だったと思う。

各キャンプにはテント、寝具、飲料水、コーヒー、紅茶、トイレ、更衣室、食事場所があり、多くの場所ではバッテリー式の扇風機も借りられた。ポーターが先回りして設備と最大7kgの荷物を運び、食事まで準備してくれる。自分たちだけでは数日間滞在できない場所に、環境への負担を抑えながらキャンプを設営する仕組みまで考えるとツアー代金は安く感じた。

持っていって役立った物と、ほとんど使わなかった物

特に役立ったのは、排水性の高い非防水シューズ、速乾性の服とソックス、ドライシャンプー、ボディシート、ベビーパウダー、DEET配合の虫よけ、スマートフォン用の落下防止ストラップだった。動画を撮る場合は洞窟内に充電設備がないため、大容量モバイルバッテリーも必要になる。私は約50,000mAh分を用意し、4日間で約1.5台分を消費した。

GoProをヘルメットへ取り付けることは安全上の理由で禁止されていたため、チェストマウントやバックパックのショルダーベルトを使った。暗い洞窟では貸し出しのヘッドライトだけでなく、自分のライトを首から下げて補助光にすると撮影しやすかった。実際にGoProを落とした参加者もいたため、カメラとスマートフォンにはストラップを付けることをおすすめする。

反対に、持参した行動食の大部分、防水スマートフォンケース、予備の手袋、湿布、靴擦れ防止クリームやテープはほとんど使わなかった。雨具の上着も乾季で雨が降らなかったため使用しなかったが、天候は変わるので省いてよいとは言い切れない。装備の詳細は別の記事で、実際の使用状況と合わせて紹介する。

ソンドン洞窟5泊6日ツアーに参加した感想

ジャングルを歩き、川を渡り、暗闇の中へ下り、地下河川や化石を見ながらテントで3泊する。その過程をすべて体験することで、洞窟の大きさだけでなく、地形、水、生態系、地域の暮らしまで少しずつ理解できる旅だった。

特に良かったのは、撮影と休憩の時間を十分に取ってくれたこと、危険な場所ではセーフティスタッフが細かく支えてくれたこと、ポーターが毎日キャンプと食事を整えてくれたことである。参加者は最大10人と少なく、数日間一緒に過ごすうちに自然と会話が増え、最後には全員で完走を喜べた。

費用は安くなく、予約から出発まで長く待つこともある。シャワーを浴びられず、濡れた服と硬い寝床で数日過ごす。それでも、地底に差し込む太陽、霧の中に現れる巨大石筍、洞窟内部の森林、暗闇の中に並ぶテントを実際に見た経験は、これまで訪れた約80カ国の中でも特に強く記憶に残っている。

体力面に不安がある場合は公式の参加条件を確認し、十分に準備したうえで参加できるなら、ソンドン洞窟は単に「世界最大の洞窟を見る旅」ではなく、世界最大の洞窟の中で4日間生活する、ほかでは代えられない体験になる。

YouTube動画「ソンドン洞窟ツアー5泊6日」

動画でも紹介しているのでぜひ!

【完全攻略】世界最大ソンドン洞窟!48万円のツアーに行ってみた!

https://youtu.be/Gp-AI8pd_lg

1日目 https://youtu.be/f2wPNDj7Suo

2日目 https://youtu.be/vFQR-Cq0yOA

3日目 https://youtu.be/m3XYMz-hzuI

4日目 https://youtu.be/ofvu1FPs0cc

5日目 https://youtu.be/HqV_hZHcqUA

6日目 https://youtu.be/oPX4JCxYVGI

参考リンク 公式情報