Travel Kurarin

古着、ドクターマーチン、沈船ダイビング、海外旅行など雑記ブログ。Ex 観光ガイドブック出版社勤務、JICA海外協力隊 2018-1次隊 ミクロネシア連邦チューク州。月間約8万PV。訪問国は約50カ国。執筆依頼、取材、問合せはコチラ。

日比谷公園、民族学博物館、沖縄海洋文化館にあるヤップの石貨にまつわる話【ヤップ島、日本、現在、価値、場所、ストーンマネー、美ら海水族館、沖縄海洋博】

日比谷公園にあるヤップの石貨

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ミクロネシア連邦ヤップ州で実際に使われていた、石のお金。石貨。これは石灰岩でできていて、ヤップ島にはなく、500km離れたパラオで切り出されて「いかだ」で運んでいた。1931年まで製造されていたそうで、現在でもヤップに行くと見ることができる。

日比谷とヤップは繋がっている!日比谷ップ!ヒビヤップ!

元々とても貴重なもので、ヤップの人たちはとても大事にしていた物。なので海外で実物を見ることができる場所はほとんどない。私の知っている範囲では日本で下記の3箇所。

  1. 大阪の 石貨 | 国立民族学博物館 2枚展示されている。
  2. 東京の日比谷公園に無造作に置かれている。
  3. 沖縄の美ら海水族館がある海洋博公園内の海洋文化館に1枚展示されている。

日比谷公園の石貨の見れる場所

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日比谷公園の道端に置かれたヤップの石貨。場所はこのあたり。

 グーグルマップにも載っているので、見つけるのは簡単。日比谷公園内のマップなどには載っていない。

www.youtube.com

日比谷公園とヤップ島を動画で繋いでみた。

日比谷公園のヤップ島の石貨現在の価値

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石貨はヤップ語では「ライ(Rai)」という。石貨は鍾乳石・結晶質石灰岩で出来ている。案内板によると、大正13年(1924年)に1000円くらいで使えたそうだ。現在の価値にすると150万円くらいらしい。といっても、ヤップの石貨は現在の紙幣のように日常的にそれで買い物をしたり、という使い方ではなかったので同じように捉えるのは間違っていると思う。

今回、ヤップ在住が長いスーさんの記事を参考にさせて頂いた。外からとやかく言う人が多い中、現地在住が長く、現地語や文化を理解されているスーさんの意見が一番真実に近いのではないか、と私は思う。スーさんにはヤップに遊びに行ったときに大変お世話になった。

自分が住んでいたチュークにはこういった文化はなかったが、ヤップもチュークも日本やアメリカによって紙幣経済、資本主義が持ち込まれた。それに伴い、お金(Money)という表現で表されるこの石貨だが、当時は人と人の結びつきを表すものであったそうなので、お金と呼ぶべきなのか疑問だという意見に自分も賛成。

現在でもヤップに行けば石貨は普通に見ることができる。一部では現在も使用されているということも聞いたことがあるが、真偽は定かではない。ヤップにも中国資本などが流れ込んでおり、貨幣社会になってきている部分も多い。ただ、過去も現在もこの石貨は「モノを買うための紙幣」という使われ方はしていない。それははっきりしていることだ。ヤップ島の石貨価値の詳細はWikipediaなどを参照してほしい。石貨 (ヤップ島) - Wikipedia

あと、スーさんのブログで指摘されている通り、1924年にヤップ島支庁長から寄贈された、と書いてあるが大事なことが抜けている。この時代はヤップ周辺は日本の統治下であり、日本が日本に寄贈したものであること、歴史の事実が抜けている。日本管轄の南洋庁の支所から日本政府に送られたものだということが伝わらないと、これはヤップの現地の人たちから送られたものだと勘違いしてしまう。

日比谷公園のヤップ島石貨(2020年9月の様子)

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この石貨は置き方が間違っているらしい。それが本当だとしたらヤップ現地に対する敬意が欠如しているとしか思えない。日本が日本に送って展示した、というのがちょっと滑稽に思える。

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しかし、80年以上前の物が現在でも手に触れられるように展示されていることは歴史の重みを感じる貴重な物だ。

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けっこう欠けているように見えるが、今後も壊されたりすることのないよう、ずっとこのまま展示されていて欲しい。

夜の日比谷公園ではヤップの石貨をライトアップしてみよう!

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飲み会の後や気持ちの良い夜の散歩などに最適な日比谷公園。石貨周辺は街頭があるだけで暗いが、スマートフォンなどのライトで裏側から石貨を照らしてみてほしい。

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iPhoneのライトで半透明の鍾乳石・石灰岩の純度が高い部分を裏から照らすと、とても綺麗に光が透過する。

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日中は白っぽく見えていた石貨に光を通すと赤みがかかり、暖かい印象を受ける。鉱石の不思議だ。是非、有志で集まって裏からたくさんのライトで照らしてみたい。

日比谷公園にある南極の石

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ヤップの石貨近くには南極の石もある。置き方がやばい。柵からはみ出てるけど。手に触れたり、近くで見れるのは嬉しいことだが置き方が適当すぎて笑える。そして、ヤップ島石貨、南極の石、他にも古代北欧文字石碑など、エキゾチックで謎の物体たちが多い日比谷公園。。。不思議な公園だ。。。

現在のヤップで見れる石貨

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ヤップを訪れたのは2019年6月。正直、石貨やヤップの踊り、文化から想像する以上に発展していた。電気、インターネット、道の舗装、お店の品揃えなど。チュークより発展している印象だった。マンタレイリゾートという個人的な所感ではミクロネシア連邦で一番良いホテルもある。泊まってみた記事は下記。

ヤップのマンタレイベイリゾートに宿泊してみた【ミクロネシア、ヤップ、ダイビング、ヤップダイバーズ、Wi-Fi】 - Travel Kurarin

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ヤップに行けば、石貨は至るところにあって、珍しいものではない。

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横から見た写真。

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建物の軒先に飾ってあることも多い

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レストランにも無造作に置かれている。

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マンタレイベイリゾートのアメニティは石貨の形をした石鹸だった。ストーンマネー、と書いてある。

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ヤップのマングローブに残る「タガレン水道」と日本語で刻まれた石貨。もはや看板、道路標識として使われている。

パラオで見られるヤップ島石貨関連の情報

元々、ヤップ島の石貨で有名なのでヤップにしかない!ヤップで造られた!という印象が強いがそれは間違い。

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パラオのダイビングやマリンアクティビティに参加すると寄ることが多い、ヤップの石貨が造られていた場所。こういう石灰岩の岸壁から岩を切り出して、加工してヤップに大海原を超えて持って帰ったらしい。

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パラオの市街地はずれにあるエピソンミュージアム。ここにもヤップの石貨が展示されている。他にも貴重な資料が多く展示されているので、パラオに行ったら必ず訪れて欲しい。

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英語では「ヤップだけが円盤状の貨幣文化を持っていたわけではない。パプアニューギニアやソロモンでは貝のお金が使われていた」と書いてある。貝はキラキラしているし、イメージしやすいが、他にも石のお金を使っていた文化は他にもあるのかもしれない。

大阪・万博記念公園にある国立民族学博物館のヤップの石貨展示

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まさにダンジョンのような、奥深き博物館「国立民族学博物館」。興味がある人は1日中いられる場所だ。最初の展示コーナーが大洋州・オセアニア地区で、ミクロネシア連邦関連の展示物がたくさん並んでいる。中でも目玉は星などを頼りに、電気や電波を使わないで太平洋を横断するスターナビゲーションを実際に現代で行ったチェチェメニ号の現物展示だろう。チェチェメニ号 | 国立民族学博物館

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ミクロネシア連邦の展示物の中に、ヤップの石貨が2枚ある。

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大きな方は1977年収集とある。太平洋戦争後にミクロネシア連邦がアメリカの信託統治地域だった頃に日本に来たのだろう。「お金」という表記がなく、好感を持てる説明文だ。

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驚いたのは小さい方の石貨。

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1914年収集、とある。現ミクロネシア連邦周辺の島々が第一次世界大戦の結果、日本統治時代が始まった年だ。となると、おそらく日本に最初に渡ったヤップの石貨であり、日本に現存する最古の石貨でもある。

www.youtube.com

国立民族学博物館で見れる展示物の一部をスライドショー動画にした。

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石貨がパラオからヤップに運ばれていたように、大洋州では海を超えた貿易がよく行われいた。離島の住人になって、ヤップと貿易をしてみるゲームがあり、楽しかった。

沖縄の海洋博公園内、海洋文化館に展示されているヤップの石貨

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美ら海水族館がある、沖縄海洋博公園。1975年の海洋万博を記念して作られた公園だ。那覇からは少し遠いが、美ら海水族館が人気で一度は行ったことがある人が多いのでは。公園内には水族館以外にも植物園などの施設があり、1日楽しめる。

大阪の国立民族学博物館に展示されているチェチェメニ号が伝統航海術でミクロネシア連邦から航海をしたのは沖縄海洋博に向けた航海イベントだった。

公園内の施設の1つ、海洋文化館・プラネタリウムは入場料190円でかなり見応えのある、穴場施設。太平洋の島々の文化などがわかりやすく紹介されている。その中にヤップの石貨も展示されていた。

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イルカの歯や貝殻などをお金(通貨ではなく価値や信頼の媒体として)にしていた、という内容の展示にヤップの石貨が代表例で展示されている。

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「人と人を結ぶ」という表現が現代の通貨を異なる価値であることを示しており、個人的には好印象の展示だった。

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日比谷公園の石貨に比べると小さいが、綺麗な円形をしている。

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1970年代に収集されたと書いてあるので、海洋博のために収集されたのだろうか?チェチェメニ号で運んできた、とかだったら良いな(笑)

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パラオから運んで作った、ということが書かれており、良い展示紹介文。

参考

【石貨ファンタジー】 ヤップ島のアレはそもそも本当に貨幣なのか?|RECOLETA|note

石貨 (ヤップ島) - Wikipedia