日比谷公園にあるヤップの石貨
ミクロネシア連邦ヤップ州で実際に使われていた、石のお金。石貨。これは石灰岩でできていて、ヤップ島にはなく、近くのパラオで切り出されていかだで運んでいた。1931年まで製造されていたそうで、現在でもヤップにいくとよく見ることができる。
もともとはとても貴重なもので、ヤップの人たちはとても大事にしていた物。なので海外で実物を見ることができる場所はほとんどない。私の知っている範囲では1つは大阪の 石貨 | 国立民族学博物館 で、もう1つが東京の日比谷公園に無造作に置かれている。
石貨の見れる場所
日比谷公園の道端に置かれたヤップの石貨。場所はこのあたり。
グーグルマップにも載っているので、見つけるのは簡単。日比谷公園内のマップなどには載っていない。
日比谷公園とヤップ島を動画で繋いでみた。
日比谷公園のヤップ島の石貨現在の価値
案内板によると、大正13年(1924年)に1000円くらいで使えたそうだ。現在の価値にすると150万円くらいらしい。といっても、ヤップの石貨は現在の紙幣のように日常的にそれで買い物をしたり、という使い方ではなかったので同じように捉えるのは間違っていると思う。
今回、ヤップ在住が長いスーさんの記事を参考にさせて頂いた。外からとやかく言う人が多い中、現地在住が長く、現地語や文化を理解されているスーさんの意見が一番真実に近いのではないか、と私は思う。スーさんにはヤップに遊びに行ったときに大変お世話になった。
自分が住んでいたチュークにはこういった文化はなかったが、ヤップもチュークも日本やアメリカによって紙幣経済、資本主義が持ち込まれた。それに伴い、お金(Money)という表現で表されるこの石貨だが、当時は人と人の結びつきを表すものであったそうなので、お金と呼ぶべきなのか疑問だという意見に自分も賛成。
現在でもヤップに行けば石貨は普通に見ることができる。一部では現在も使用されているということも聞いたことがあるが、真偽は定かではない。ヤップにも中国資本などが流れ込んでおり、貨幣社会になってきている部分も多い。ただ、過去も現在もこの石貨は「モノを買うための紙幣」という使われ方はしていない。それははっきりしていることだ。ヤップ島の石貨価値の詳細はWikipediaなどを参照してほしい。石貨 (ヤップ島) - Wikipedia
あと、スーさんのブログで指摘されている通り、1924年にヤップ島支庁長から寄贈された、と書いてあるが大事なことが抜けている。この時代はヤップ周辺は日本の統治下であり、日本人が日本人に寄贈したものであること、歴史の事実が抜けている。南洋庁の支所から日本政府に送られたものだということが伝わっていないと、これはヤップの現地の人たちから送られたものだと勘違いしてしまう。
日比谷公園のヤップ島石貨(2020年9月の様子)
この石貨は置き方が間違っているらしい。それが本当だとしたらヤップ現地に対する敬意が欠如しているとしか思えない。日本人が日本人に送って展示した、というのがちょっと滑稽に思える。
しかし、80年以上前の物が現在でも手に触れられるように展示されていることは歴史の重みを感じる貴重な物だ。
けっこう欠けているように見えるが、今後も壊されたりすることのないよう、ずっとこのまま展示されていて欲しい。
日比谷公園にある南極の石
ヤップの石貨近くには南極の石もある。置き方がやばい。柵からはみ出てるけど。手に触れたり、近くで見れるのは嬉しいことだが置き方が適当すぎて笑える。そして、ヤップ島石貨、南極の石、他にも古代北欧文字石碑など、エキゾチックで謎の物体たちが多い日比谷公園。。。不思議な公園だ。。。
現在のヤップで見れる石貨
ヤップを訪れたのは2019年6月。正直、石貨やヤップの踊り、文化から想像する以上に発展していた。電気、インターネット、道の舗装、お店の品揃えなど。チュークより発展している印象だった。マンタレイリゾートという個人的な所感ではミクロネシア連邦で一番良いホテルもある。泊まってみた記事は下記。
ヤップのマンタレイベイリゾートに宿泊してみた【ミクロネシア、ヤップ、ダイビング、ヤップダイバーズ、Wi-Fi】 - Travel Kurarin
ヤップに行けば、石貨は至るところにあって、珍しいものではない。
横から見た写真。
建物の軒先に飾ってあることも多い
レストランにも無造作に置かれている。
マンタレイベイリゾートのアメニティは石貨の形をした石鹸だった。ストーンマネー、と書いてある。
ヤップのマングローブに残る「タガレン水道」と日本語で刻まれた石貨。もはや看板、道路標識として使われている。
パラオで見られるヤップ島石貨関連の情報
元々、ヤップ島の石貨で有名なのでヤップにしかない!ヤップで造られた!という印象が強いがそれは間違い。
パラオのダイビングやマリンアクティビティに参加すると寄ることが多い、ヤップの石貨が造られていた場所。こういう石灰岩の岸壁から岩を切り出して、加工してヤップに大海原を超えて持って帰ったらしい。
パラオの市街地はずれにあるエピソンミュージアム。ここにもヤップの石貨が展示されている。他にも貴重な資料が多く展示されているので、パラオに行ったら必ず訪れて欲しい。
英語では「ヤップだけが円盤状の貨幣文化を持っていたわけではない。パプアニューギニアやソロモンでは貝のお金が使われていた」と書いてある。貝はキラキラしているし、イメージしやすいが、他にも石のお金を使っていた文化は他にもあるのかもしれない。
参考
【石貨ファンタジー】 ヤップ島のアレはそもそも本当に貨幣なのか?|RECOLETA|note
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